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日焼け

こんな病気

日光に当たると、表皮のいちばん下の基底層にある色素細胞メラノサイトの働きが活性化され、メラニン色素をつくります。メラニン色素が表皮全体に行きわたることにより、肌の色が黒くなります。

種類

日本語の「日焼け」という言葉は紫外線により皮膚が赤くなる「サンバーン」と、その後黒くなる「サンタン」を含めて使われていますが、サンバーンは紫外線による皮膚のヤケド、サンタンはその結果おこるメラニン増加です。

原因

皮膚に影響を与える紫外線は主にUV-AとUV-Bがあります。
UVBは波長280-320nm、UVAは320-400nmです。波長が短いほど生物に対する影響が強いのですが、波長が長いほど皮膚の深くに入りこむという性質もあります。
日焼けを起こす力で比べると、UVBはUVAの600-1000倍強いといわれています。しかし、UVAは日光に大量に含まれていますので、海水浴などで真っ赤に日焼けした場合（サンバーン）、その責任割合はUVBが7－8割、UVAが2－3割と見積もられています。

症状

紫外線に対する反応は皮膚の色によって異なります。
タイプⅠ：紫外線に当たるとすぐに赤くなり、黒くなりにくい。（日本人の約17～18％）
タイプⅡ：紫外線に当たるとそこそこ赤くなり、その後そこそこ黒くなる。（日本人の約60～70％）
タイプⅢ：紫外線に当たってもあまり赤くならず、その後黒くなる。（日本人の約13～14％）

UV-Bを浴びることにより、炎症を起こす様々な遺伝子が発現して、細胞から多数の炎症惹起因子が放出されます。その結果、翌日には皮膚が痛みを伴って赤く腫れ上がり、1週間ほど経つと死んだ皮膚が薄い膜状になって剥がれ落ちます。
色が黒くなるサンタンもこの一連の炎症反応により、メラニン色素を作る色素細胞（メラノサイト）が刺激され、メラニンを大量に作った結果です。メラニン色素は紫外線を非常によく吸収しますので、次回の紫外線暴露に備えた防御機構といえます。
日焼けで赤くなるタイプの人は、メラニン色素が産生されにくく紫外線の影響を受けやすいと言えます。
また、紫外線は光老化という慢性の紫外線障害の原因となります。光老化で特徴的なことは真皮にあって皮膚の張りを保つ弾性線維が破壊され、お団子状態になる光線性弾性線維症という変化が起こることです。弾性線維が機能しなくなるため皮膚の張りが無くなり、しわや、たるみができます。これは年をとっただけでは起きない変化です。

診断

症状を見て診断します。

治療の流れ

日焼け後の肌は紫外線によるダメージで皮膚のバリア機能が壊れてしまった状態です。
日焼けをした部分が熱っぽく、ヒリヒリと痛む時は、濡れタオルや氷水入りのビニール袋をタオルで包んだものを日焼けした箇所にあてて、しっかりと冷やしましょう。
日焼けした箇所が広い場合や、皮ふの赤みや痛みに加え、水疱、発熱、倦怠感、頭痛、嘔吐などの症状を併発している場合は重症化しているため、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
受診するまでの間に自分で行える対処法としては、日焼けした部位の皮ふを冷やすことです。日焼けした肌は乾燥しやすいので、保湿をしっかりするようにしましょう。

生活習慣チェック

●紫外線を浴びないことが第一です。
・日傘や帽子で紫外線を防ぎましょう。
・皮膚を露出しないようにしましょう。
・目からの紫外線も要注意です。サングラスを活用しましょう。
・日焼け止めを使用しましょう。

[日焼け止めの表示の見方]
日焼け止めの表示にあるSPFとは、UV-Bに対する防止効果で、後の数字は何もつけていないときと比べた防止効果の倍数です。例えばSPF２０なら、何もつけていないときに赤くなる時間より20倍の時間、赤くなるのを防ぐ効果があります。SPFは数字が50以上になると、その性能に余り差がなくなり、実際的な意味を持たなくなるので、最近ではSPF50以上の場合、製品には単にSPF50+と表示するようになりました。
PAはUV-Aの防止効果で、PA＋（効果がある）、PA＋＋（効果がかなりある）、PA＋＋＋（効果が非常にある）を表します。

[日焼け止めの成分は？]
日焼け止めに含まれる主要成分として紫外線吸収剤と、散乱剤があり、これらが単独あるいは組み合わせて用いられています。
吸収剤はUV-B領域の紫外線をよく吸収しますが、UV-Aを効果的に吸収する成分は限られているのが現状です。散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛が主体で、UVBからUVA領域まで広く遮断します。以前は塗ると白くなる製品が多かったのですが、最近では改良が進み、使いやすいものが増えています。吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるので、かゆみや赤みが生じたら、ノンケミカルとか吸収剤未使用などと表示されている散乱剤だけの製品が良いでしょう。ただし、強い遮断力を必要とする場合は、吸収剤入りの方が効果的です。

●日焼けに負けない肌をつくる栄養素
紫外線によって増加する活性酸素対策として、抗酸化作用のある栄養素を摂りましょう。ビタミンCとEは一緒に摂ると相乗効果が期待できます。ベータカロテンやポリフェノールなども抗酸化力が強い栄養素です。
ビタミンCはメラニンの生成を抑える、メラニン色素を還元する、というダブルの美白効果があります。ビタミンB2は細胞の再生や成長を促す働きがあるので、肌の新陳代謝を高めてメラニン色素を排泄してくれます。
アミノ酸の一種であるL-システインもメラニンの生成を抑え、メラニン色素を還元する働きがあります。

よく使う薬剤

皮むけがある場合はステロイド外用薬やへパリン類似物質入りのクリームなどを使用します。
日焼けによって色素沈着（シミ）が起こる場合があります。
シミの治療ではトラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEなどがよく使われます。

ご存じですか？

メラニンの生成を抑える成分を摂ると、白髪が増えるという噂がありますが、これについては医学的根拠はないため、心配しなくてよいでしょう。